
Story 01
地域振興のための古民家大改修
[奥出雲空き家活用定住住宅]
Outline
築150年を未来へ繋ぐ
再生計画
実際に見てみると、他の昭和中期に建てられたような空き家利用物件と違って、築150年というたいへん古い住宅で、敷地内には木や雑草が生い茂り、今にも潰れそうな状態でしたが、築年数が示すとおり、梁や柱など今では再現できないような希少性を感じたのです。半壊状態とはいえ、この地で150年を耐えてきた年月の重みもあり、その歴史の継続性みたいなものを大切にしたほうが奥出雲町のためにもなると判断し、単なる空き家の再生ではなく、しっかりと手をかけ、家の持つ魅力をそのまま活かした古民家再生住宅にしませんかと、その場で提案させていただきました。
現在では一般にも浸透してきた古民家再生ですが、当時はまだ本格的なものも少なく、奥出雲町でも初めての試みでしたが、「それではやってみましょうか」と興味を持ってくださいました。


Photo: 1.改装前の鍛冶屋旧内田家 2.奥出雲町営住宅として再生
現代の快適性と
古民家の趣きを融合
梁や柱などの構造体をそのまま活かすために、まずは家引きをおこない、腐って使い物にならなくなった床や床下部分を撤去。そこに戻した建物が沈下しないよう、家を支える鋼管杭の打設と防湿コンクリート基礎で下地を強化しました。こうして補強した基礎の上に構造体を戻し、老朽化で使えなくなった部分などは、材質は似せながらも、新しいままで見せることで歴史の継続性を強調しています。
稀少な梁や柱を現しで見せながら、下地に耐震、断熱、耐火性を合わせ持ったパネルを入れた塗壁や、新たな照明器具を設えた囲炉裏の再生など、現代的な快適性能と古民家ならではの趣きを融合させた空間に仕立てています。




Photo: 1.完成当時に思いをはせる 2.新旧木材融合の玄関内 3.趣を再現した囲炉裏 4.住み心地を確認する小草所長
屋根は傷んだ藁葺きを取り除き、耐震補強した後、周囲の家並みと馴染むよう、元の藁葺き屋根と同じ形状の金属板屋根を新たに葺き、門塀や庭木などの外構も整え、内も外も古くて新しい古民家再生町営住宅が完成しました。



Photo: 1.アプローチ・玄関ポーチ 2.外構 3.軒下
風土文化を継承し、
地域活性化へ






Photo: 1.自然と融合する外観 2.当時の匠の技をみせる柱 3.住宅イメージと一体の塀囲い 4.囲炉裏の趣を活かす照明 5.自然と融合した外観 6.旧内田家の由来板